浮気されたほうがマシだと思う場合が私にはある。
彼はしばしば出張に出た。そんなとき、私は朝から開放感に充ち満ちて「さあ今日はなにをしようか!」なんてワクワクする気持ちに包まれる。
ああ、これで旦那のだらしない日常にカリカリしなくともよい…
結婚後、やたらと目につくようになってしまった夫の醜態から距離を置くにはもってこいの時間だ。
その一方で、出張先での夫の行動が悩みでもあるのだ。
心配と悩みの中身とは出張先で女遊びをしないか?というものだった。
出張先ではお決まりのように風俗店通いをする夫。
「kakoちゃん、オレだって付き合いがあるんだからさ……」
付き合い?仕事の内?男だから仕方が無い?
付き合い?
そんなの言い訳だ。
結局、自分の欲望を私以外で満たすために〝付き合い〟を流用しているだけじゃないか。
そんな言い訳、聞きたくもなかったし、それならそれで妻に知られぬように事実を完全隠蔽して欲しかった……。
それに、付き合いで女遊びをしなきゃなんない会社なんて辞めてしまえ。
浮気よりも女遊びの方が心が傷ついてしまう理由は事実の認識にあった。
彼が女性に対して〝惚れれば一直線〟なタイプであることを自分を通して知っている私。だからもし、私以外の女性を好きになってしまったなら彼はきっと浮気の事実を一切知られないように努力するだろう。
彼はそういう人だ。
ところが、女遊びについては独自の〝正当性〟をもっているのが夫。
だから少しばかりの罪悪感があったとて浮気のように必死でバレないようにする必要が、そもそも彼には無い。
私にとって、配偶者の不貞は内容に関わらず〝知りたくない〟事実であり、もっと言えば知らされない裏切りよりも知ってしまう怖さを受け入れたくない。
裏切られて救われることだってあると思うのだ……。
浮気でも女遊びでも、不貞の内容はどうだっていい。
その事実を墓場まで持って行くほどの気遣いが欲しい。
付き合いも仕事も…そんな理由はノイズでしかないのだ。
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