だから、ここからはケチではなく〝節約家〟と呼ばせてもらおう。
そう、彼は節約家だ。
でもちょっとまてよ……節約家である夫が出張を理由に女遊びに精を出すなんておかしいじゃないか。ああそうか、男の欲求に関しては節約しないってことなんだろうな……。
そんな低次なグチはさておき――
結婚してから目につくようになった夫の節約。不思議なもので私まで節約志向はグンと深まった。
それどころか、結婚前のようにおおざっぱにお金を使うことに無意識にステータスのようなものを感じていたような私が、節約の楽しさのようなものを求めるようになったのだ。
そうして、よく目にする主婦の節約術について書かれたブログを探してきては楽しんでいる始末。
そう言えば、私の父親がとんでもない浪費家だった。
夜の世界で生きていた私は、ある意味で父親の血を継いでいたんだろうか……
ケチを改め節約家の夫。
呼び方を変えても文句をつけたいことがひとつあった。不燃ゴミを拾ってくるのだ。
言っておくが、拾ったモノを古物として転売する目的ではない。自分で再使用することが目的なのだ。
薄汚れた釣り竿、壊れかけた危なっかしい電気ストーブにスタンドやらなにやら…
素人修理で再び使おうと企てる夫に、結婚前に感じた凜々しさはどこへやら。
そして、何時間も費やした挙げ句の果て、再利用が不可だとあきらめた夫はそれらの不燃ゴミを部屋にほったらかすのだ。
もういい加減にしてくれないか?
それが本音だった。
夫にとって節約と浪費の釣り合いが理解できないのだ。
女遊びをやめて家電のひとつやふたつを購入してほしい。それでいて、節約のしすぎで美容院に行く回数をグンと減らした減らした私には女度低下の不評を口にする夫。
彼よりも自分が正しいというのではない、でも彼の価値観がよくわからなかったのだ。
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