結婚して何度か夫に投げ捨てたセリフだ。
よくよく考えてみれば自分勝手な言い分なのかもしれない。
けれど、妻の立場に配慮することは夫のためでもあるのだ。
そうかといって「それはあなたのためでもあるんだから!」なんてことは絶対に言わぬようにはしていた。
なぜなら、「あなたのため」と言われるほど押しつけがましい言葉は無いと思うからだ。
順番的には自分のために起こす行動が、結果として相手のためにもなったということなんだろうから……。
ちょっと理屈っぽい話になってしまった。
私たちの夫婦生活でこの理屈にあてはまるエピソードを書こう。
夫のワイシャツ――。
もちろん私はパリッと糊を効かせてアイロンをかける。
すると夫はこんなことを言うんだ。
「アイロンなんていいよ、結婚するまでそんなことしてなかったから」
彼の言いたいことはわからないでもない。
けれど、妻としてしわくちゃのワイシャツを着せられないじゃないか。
もしそうなら、しわくちゃのワイシャツを着せて会社に送り出す妻の立場も考えてみてよ!と言うのが私の考えだ。
だがここで、「身だしなみをちゃんとするのはあなたのためだから」とは言わない。
私のために…と言いながら夫に恥ずかしい思いをさせたくない。
アナタのために…と言わずに私が恥ずかしい思いをしたくない。
それが妻としての本音なのだ。
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