セレブ婚を目指す人ってけっこう多い……
婚活相手の職業にも人気度がある。医者、弁護士、経営者など社会的地位の高い職業に就く男性との結婚を望む人も多い。
捨て猫のような身の程の私でありながら、お医者さんや法曹界の人物と限りなく男女関係に類似した距離感で接する機会が豊富だったのは、独身時代の仕事によるものとしか言い様がない。おバカな私でもどうしたことか偉い人たちと同じテーブルで談笑できるなんて、お酒と夜と女の持つ力はすごいなぁと思うのだ。
元彼? というような関係でもないのだが、一応は過去の交際相手と言うべき男性から電話がかかってきた。
実は、結婚を機にアドレス帳に登録してあった男性の連絡先はすべて削除した。それは夫への礼儀だと思ったし、自分自身へのけじめでもあった。
なので、連絡先から一旦削除した相手からの電話番号が表示されても誰これ?となり、放置する場合もある。
そのときも最初は放置したのだが時間をおいて再度着信があったので今度は電話に出たーー。すると相手は過去の交際相手だった。
わたしよりも7歳年上の男性は学術系の職業だ。そういう人物と関係が生まれるのも夜の商売ならではの話だが、電話の理由は何でも無い……ふと思い出した矢先の近況報告のような、そんな感じの電話だった。
古き良き〝むかし〟を思い出した。
そして夫と比較した……妄想的に、もし? を連発した。
人生に〝もし〟は禁句だとしても、夫ではなくて彼だったら……? 結婚を後悔していない? そんなことを考え始めればキリがなく愉快な気分になった。不思議だけれど、幸せを黙想することって楽しい。
学術を職業とするだけあって、クリエイティブで自由な思考に富みながら論理的で堅実な知力にあふれた素敵な男性。
婚活と言えば、医者と結婚することを強く望む女性も少なくない。
それほど、結婚相手にステータスを求めることはひとつのサクセスであることは私だって理解できる。医者や学者、とにかく社会的地位の高い男性と結婚することは女として得をすることが多いだろう。むしろ、そのような相手と知り合える機会に恵まれた私だからいっそのことセレブ婚でも狙えば良かったかな……?けれど、私には無理な相手だったのだ。
理由は簡単、彼が人生を歩くスピードは私には速すぎたのだ。
皮肉な話……人生の得よりも人生の歩き方は大事なこと。
結婚相手は素敵な人物であればあるほど良いのか? 素敵とは何を根拠にはかるのか? 医者との結婚? 自分の人生を客観視してしまえばさぞ幸せなセレブ婚に見えても、さあ果たして……
スポンサーリンク