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結婚を後悔させる理由があふれている
それでも離婚しないのは
愛が消えぬから・・・?
「結婚なんて面倒なだけ」そんなことを口ずさんでいた夜オンナも、いつしか妻となった。そして、生まれて初めて経験する〝ひとりではない幸せと喜び〟けれど幸せなんてつかの間だった・・・結婚とは・・・後悔するもの? 過ぎゆく時間に問いを立てる・・・

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結婚させてください


結婚させてください。
男性が女性側の両親に〝結婚させてください〟と挨拶にうかがう日。
これはよほどのケースを除いて大多数のカップルが経験するイベントだ。

ちなみに、私たちもこの「結婚させてください」を心臓をバクバクさせながら経験したあの日は、ある。

夫からの熱烈アプローチで交際一ヶ月で結婚した自分たち。
念のため、できちゃった婚でもなかった私たちは「もっとお互いをよく知ってからの方が……」と、結婚の先送りを意見されてしまうのでは?という危惧はあった。
けれど、父親ってのは娘がそういう年頃になるとイエスの答えを胸中にポツンと用意するようになるのだろうか……
困惑しているような表情は、どうやってイエスと言おうかと困惑しているかのようにさえ見えてしまった。

その日、夫の車で実家に向かった。
夫は最初は言葉数少なく思い詰めたような横顔をしていたが、実家に近づくにつれなぜだか気分が高揚しているのを感じた。
なんて言うか…自分で自分に檄を飛ばしている?ような、たとえばリングに上がる直前のボクサーが控え室で自分のほおをパシッとたたき気合いを入れているような……気配を感じた。その一方で、これまで感じたこともないような夫の緊張感の高鳴りを強く感じた。なにせ、狭い車内…運転席から彼の気合いが反響しているような感じだった。

到着――。
夫はかわいそうなことに、たちまち私の親族に取り囲まれてしまった。
姪の結婚予定相手に興味津々で会いに来た伯母、妹、義弟、甥っ子、そして私の両親。多勢に無勢とでも言おうか…夫は、黙り込んでしまった。
それもそう、これだけのお身内に囲まれて〝結婚させてください〟は誰だって言えないだろう。
それを察してか、まずは妹が気を利かしてコーヒーを入れてくれる。
すると義弟や伯母はいつもまにやら立ち去り、気がつけば私と夫、そして両親だけが部屋に残った。良い雰囲気だ…私はよそ事のように内心、思っていた。
こういう場合、女は、完全に男に任せるものだなと思った。

男同士、気を遣った父が夫に話をし始める。
仕事や家族のこと、実家の様子など…
たわいのない、話しても話さなくともどうでも良いような内容の話を時間稼ぎでやりくりしているような状況に、隣室で聞き耳を立てる、先ほど立ち去ったお身内の面々。

……と、ここでハプニングが起こった。母がおもむろに夫に言うのだ「ところで入籍はいつですか?」と。夫はまだ「結婚させてください」と言っていない。
予想される展開としては夫による〝結婚させてください〟を両親が困惑した表情で受け止め、しばし沈黙が繰り返され、そうしてようやく決断と結論のような会話が交わされ、さらに沈黙が繰り返され、そのぎこちない空気を嫌うかのように母が「ところで入籍は……」と切り出すものじゃないかと思うのだが、母はその全ての行程をすっ飛ばしてしまった。

この日結局、夫は〝結婚させてください〟のひと言を男らしくかっこよく、両親に言うことはなかった。イコール、私たちの場合にこの言葉は不要なまま結婚した。
むしろ、父の方からは「こんな子ですが娘をよろしく頼みます」と言い、それに対して「い……いいんですか?」と返す夫に私はかっこ悪さを感じずには居られなかった。

で、夫の言い分はこうだ。
あれだけ気合いを入れていたのに拍子抜けというか、こんなにあっさり結婚できるとは思わなかっただと……

私はいまだにあこがれている。
居間にて神妙な空気が流れる中、深々と頭を下げ、恋人が〝結婚させてください〟と父に詰め寄るシーン。
女は無言でその一部始終を横目にし、父から夫へ、そして娘から妻へと、自分の人生最大のイベントを経験する。
そんなドラマティックな一コマを……。
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